冒頭、どうすれば小学生でも大金が稼げるのか自問自答する幼き少年。そして彼の脳裏に写り込んできたのは大地の姿であった。
『今の誰だ?』
場面転換。3年前に遡っていく。
クラブ「DIANA」には新人のキャバ嬢であるユイが初出勤。そこで働いていたのが大地であった。
彼がキャバクラのボーイのバイトをしていたのだ。
そこへ同じ店のキャバ嬢であるサクラが訪れる。無愛想なサクラ。新人であるユイに軽く挨拶をしてキャストルームへ。キャバ嬢とスタッフのやり取りを見ながら心の中では「どうでもいい」そう感じていた大地。
店も終わるとキャストの送迎を最後にする大地。まずはユイを送る。次にサクラを送っていく。彼女の自宅に辿り着く。かなりの高級マンションであった。
送迎も終えて車に戻る大地。ぼやく。
『ボヤくくらいなら見栄はってないで身の丈に合った所に住めばいいのに』
『…なんて、身の丈に合わない生き方してきた俺に言われたくないか…』
店に帰って最後、戸締まり。大地が自宅に着くのは午前3時を過ぎていた。ベッドに座って缶ビールを開ける。そして思う。
『何の為に生きてるんだろうな…俺は…』
翌朝になるとインターホンが鳴り響く。玄関を開けると妹であった。部活を引退して暇だから遊びに来たと語る妹。
妹は大地に勉強を教えて欲しいとお願いしていく。
『偏差値75の高校に特待生で入ったお兄ちゃんなら楽勝でしょ!?』
一瞬固まる大地。
優秀だった兄を褒めちぎる妹。しかし、現在の大地は高卒でフリーター。トンビの子はトンビだったと自分を揶揄していく。
妹はその事で大地が家を出ていったと思っていた。そして両親も自分もずっと大地の帰りを待っていると伝えていく。
シャワーを浴びる時間だからと言って妹を帰宅させる大地。彼は中学時代。未来を予知能力できる力を利用して自分を大きく見せていた事が明かされる。
夜。クラブではスタッフが悩んでいた。サクラが酔っ払ってソファで寝ていたのだ。彼女を自宅に送り届ける事を指示される大地。サクラがここまで酔うのは珍しかった。
お姫様抱っこをして車にサクラを運ぶ大地。
酔っ払っているサクラはノリで大地のほっぺにキス。ホステスとボーイの色恋はご法度である。彼女は危ないと感じて身を引き締めていく大地。そしていつもの彼女が降ろす高級マンションの前へ。
酔っぱらいのサクラは暴露していく。
実は本当に住んでいるのはここではないと。大地を自宅に連れていくサクラ。そこはボロアパートであった。大地に不満、不安を漏らしていくサクラ。よろめいた所を大地がフォローしていく。
『最近ね…本気で思うの…どこからか王子様が現れて、私をこの生活から救い出してくれないかしらって』
サクラの瞳に吸い込まれそうになる大地。危うく唇を交わすところであった。
そして彼女がちゃんと部屋に入るか見届ける大地。
玄関を開けると、そこには少年が一人立っていた。驚く大地。サクラから紹介を受ける。自分の息子であると。小学5年生の息子であった。
サクラはそのまま玄関前で寝てしまう。じっと大地を見つめる少年。自分を店のスタッフであると説明。サクラをベッドに乗せたら帰ると伝えていく。すると少年が大地の腕をいきなり掴む。
『あんただ!』
少年が予知能力で現れた顔が大地であった。彼は大地に金を稼ぐ方法を教えて欲しいと懇願していく。理解が追いつかない大地。少年が説明する。
『急に見えたんだ…頭の中に俺に向かってしゃべってるあんたの顔が』
その言葉を聞いて理解する大地。
『もしかして…君も見えるのか?未来が…?』
ここで第8巻は終了。